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2010.03.08

萌えって何だい?(SS)

唐突に萌えって何だ?と考えた結果


萌え?

ギャップじゃね?

意外な一面すげえときめくんじゃない?

男っぽい女の子っていいんでない?

何か可愛いアイテムあればいいんでない?

何か、可愛ければいいんでない?





そういうわけでできたものをまた上げておきます。いつも通り折りたたみ。
上記の内容に疑問を持たない人はきっと大丈夫。
あといつも通りテンションで書いてるので以下省略。


とりあえず、私はきっと萌えを勘違いしている。









 真剣に切羽詰っている。
 というのもまさにテスト期間なわけだが勉強がまったくできていない。原因としては、まだいいやー、まだいいやー、もう前日に一夜漬けだよねー、とか思っていたためである。しかしまあ、ここまではいつものこと。一番困っているのは、一夜漬け万歳! と取り掛かろうとしたのだが、ノートとプリント丸々見当たらないのである。一夜漬けどころの話じゃない、ノー勉で挑めと言うことだろうか。 絶望、その二文字が頭に浮かんだとき、携帯電話が鳴り響いた。
「はい」
「何その死にそうな声」
「実はかくかくしかじかで」
「それで通じたら俺エスパーになれるぞ」
「ノートが消えた私も消えたい」
 あ、まずい、声にして言っていたら今の状況に涙が出てきた。
「あ? ノート?」
「明日のテストの……」
 ああ、もう無理かなぁ……赤点の人間に対する救済処置あるかなあ。
 ぼんやりとそんなことを考えていると、電話からは、あ、という間抜けな声が聞こえた。
「あー、あのなあ、怒るなよ?」
「今の私に怒る気力なんかない」
「悪い、お前のノート俺持ってるわ」
「んだとてめえ!」
「怒ってんじゃねえかよ!」
 当たり前だ、絶望の原因がわかったのだから強気にもなる。というか、なぜお前が持っている、と思ったらそういえばこいつに貸してから返ってきた覚えがない。つまり、借りパクか、借りパクなのか、良い度胸だ。
「とりあえず顔面パンチな」
「怖いこと宣言すんじゃねえよ!」
「先に知らせてやってるんだから感謝しろよ」
「悪かったってー。とりあえず、俺ん家来いよ」
 今の話の流れでなぜそうなるのあろうか。そんなに殴られたいのか、Mか?
「パードゥン?」
「英語のテストは昨日だっての。俺の家にノートあるからこっち来いよ。これがないと、明日赤点だろ?」
「うん、まあ、そうだけど……」
 でもねえ……。
「取りに行ったとしても、こっち戻ってきたらもう勉強する時間ないんだけど」
「あー、じゃあ泊まる準備してこいよ」
「はぁ?」
「俺一人暮らしだから、別に泊まって平気だぜ? 着替えとか明日の準備とかしてくればいいだろ」
 お前、一応私は女なんだが。
 そう言おうとしたが、やめた。どうせ、お前女だったの? とか失礼なことを言われるのだ。それに今から取りに行くなら確かに泊まった方が効率的だ。何より今は時間が惜しい。
「わかった、今から行く」
「おう、じゃあまた後でな」
 電話を切って準備をするために腰を上げる。
 とりあえず、挨拶は顔面パンチだ。







 ピンポーン、とインターホンを鳴らすと、ドアがガチャリと開いた。
「いきなり開けるのは無用心じゃないか?」
「カメラで確認したって」
 ほら、わざわざ悪かったな、荷物よこせよ。
 さすがに本当に悪いと思っているのだろう、玄関が開くなり恭しく招かれて、出鼻をくじかれた。まあ、つまり奴は顔面パンチを免れたのである。
 荷物を持たれてしまったので、少々居心地が悪い。
「今持ってくるから、ここで待ってろよ」
 案内されたのはリビングだった。適当に腰を下ろすと、真っ先に目に入ったのは、大きな熊だった。とてもつぶらな瞳をして、首にピンクのリボンをつけた、白い大きなテディ・ベア。
「はい?」
 いやいや、男の一人暮らしにテディ・ベア? 思わず気の抜けた声が出てしまって、はっと思って後ろを見ると、奴はいない。すでにノートを取りに行ったようだ。
 そろりそろり、とそれに近づく。私の上半身ぐらいはあるのではないかと思えるサイズだった。すごい、と思い、腕を触ってみると、ふわふわした。
 愛らしい顔がこちらを見つめてくる。可愛い、可愛いが、これをあの男が買ったのだろうか。そういえば前に、俺は意外と可愛いもの好きなんだ、と言ってたような気がしないでもない。
 腕を触るのをやめて、思い切ってぎゅ、と抱きついてみた。や、やわらかい。うわああ、ちょっと感動した。
 それにしても、と抱きつきながらテディ・ベアの顔を見る。見れば見るほど、少女の好みそうな可愛らしさだった。これを、あの男が持っているとは。よく見ると周りにもぬいぐるみがちょこちょこ置いてある。どれも可愛い。
 どうしよう、と徐々に赤くなる顔をテディ・ベアに押し付ける。
 どうしよう、どうしよう。うっかり、あの男を可愛い、と思ってしまったではないか。
 可愛いもの好きだけど、男が買うのすげえ恥ずかしいんだ。でも好きだから買っちゃうんだけどな。
 すっかり記憶のすみっこに押しやられていた記憶も蘇ってきて、胸がどきどきと高鳴るのがわかった。恥ずかしがりながら、これを買うのか。どうしよう、本当に、可愛い。
 うわああ、もう! と思いテディ・ベアをぎゅっと抱きしめる。体中熱く感じる。落ち着け、落ち着け、と言い聞かせた。
「あの、な」
 申し訳なさそうに、声が聞こえた。びく、と肩が揺れた。え、うそ、え、え。
 混乱する頭を何とか振り切った。今の声は、確実に、あいつだ。うそだろマジかよ、このタイミングで?
「あ、う、その、あ、あの」
 慌ててテディ・ベアから顔を上げた。しかし、すぐに失敗したと思った。あいつの顔を見た途端、顔が余計に熱くなるのがわかった。耳まで熱い。
 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!
 どうすることもできずに、テディ・ベアを抱く腕にだけ力をこめる。うう、と思って何とか視線だけやつに向けると、奴も顔を真っ赤にして口に手を当てている。
 あれ?
 お互い赤面した状況で、わたわたとしている。
「あの、違う、その」
「お、俺も違くて、その」
 二人して混乱している。焦って言葉が出てこない。何だっけ、私何を言おうとしたんだっけ。あれ、どうしよう。
「う、あ、の」
「そ、のな」
 かあー、と熱が上がる、これ以上体温が上がっても平気なのだろうか。もうすでに限界地点なのだが。
 もうどうにでもなれ、と口を開いた。
「「可愛い!」」
 しかし、同時に口を開いてしまって、今度はお互いぽかん、とした。
「え?」
「は?」
 何、が?
「あ……」
 言葉を徐々に理解すると同時に、また熱くなった。湯気が出そう。しかし、それはあちらも同じようで、同じように赤くなりながら途方に暮れた顔をしていた。
 ああ、本当、どうすればいい。
 教えて、テディ・ベア、と、やけくそでそれごと奴に抱きついた。






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