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2010.05.25

知ってるか、これ続かないんだぜ(SS)

とりあえずシスター、ブラザー、両方短編にUPしました。
日記に載せてるすごく短いのも載せるページとか作りたいですね。うーん、頑張ろう。



宣言した続かないファンタジーを載せておきます。





「ライオンです」
 見ればわかる。そう切り捨ててしまいたくなったが、残念なことに相手は恩人、いや恩ライオンである。そのライオンはといえば、まっすぐに瑠璃のことを見つめてきている。ライオンの瞳に映る自分を見て、瑠璃は少しばかり記憶をたどった。
 瑠璃は森の中にいた。自分で来たのではない、瑠璃は生粋のインドア派だったので好んでこんな場所には訪れない。しかし何故か目が覚めたら森の中、である。これは夢だろうか。頬をつねっても痛覚があった。けれどそれだけで夢でないとは言い切れないだろうと思い、森の中をうろうろすることにしたのだ。出口を探すというのは建前で、正直あそこにいつまでもいたら発狂しそうだったのである。想像して欲しい、真夜中に、明かりがひとつもなく、聞こえるのは木々の囁きとどこからか漂ってくる獣の鳴き声。何か出るのではないか、食われるのではないか、そんな恐怖と戦いながらじっとしていられるほど、瑠璃は冷静ではなかった。ただでさえ混乱しているというのに恐怖まで来るのはたまらない。気を紛らわすために歩くことにしたのである。しかし、すぐに後悔する。
「こ、こんにちは」
 思わずそう声を掛けてしまった。瑠璃の混乱は限界を達している。目の前にはクマである。肉食、クマである。
 クマはグルルルとうめいている。少しよだれが口の端からたれていた。それは私が美味しそうに見えるとかじゃないよね違うよねと必死で頭の中で最悪の事態を思い描かないように努力しながらクマの対処法を思い出そうとあがいてみた。
 死んだフリは確か間違った対処だったような……体を屈めないで、相手の目を見て、ゆっくりと後ろに下がる、そうだ、これだ。
 思い出して瑠璃はそれを実行した。しかし、彼女はなれない森の道を侮っていた。見事に木の根に躓いたのである。転んだ彼女の上にクマが飛び掛る。もうだめだ、あきらめた瞬間、金色が瞬いた。
 え、と思った瞬間にはクマは撃沈。目の前には輝かしい、百十の王、獅子。つまり、ライオン。
 ライオンはクマが気絶したのを確かめると、瑠璃を振り向いた。一難去ってまた一難。私は結局食われる人生だったのだと腹をくくった。でも怖いので目は閉じる。
「大丈夫ですか?」
 少し低い、男性の気遣いの声が聞こえた。人が来たと思った瑠璃は顔を輝かせて目を開いた。しかし周りを見回してもいるのは自分とライオンのみ。ついに空耳まで、と気が遠くなった瑠璃だったが、もう一度声が聞こえる。
「あの……」
 声のほうを向いたが、そこには輝かしいライオン様しかいない。まさか、と一瞬よぎった自分の考えを鼻で笑った。
「お怪我はありませんか」
 もう一度聞こえた。今度はちゃんと口が動くのも見えた。いくら現実逃避しようが事実は事実だ。瑠璃は目の前のしゃべるライオンを凝視した。何度呼びかけても反応しない瑠璃に焦れたのか、ライオンが一歩だけ近づいてきた。当然瑠璃は一歩後退する。
「言葉は通じていますよね?」
 ええ、残念なことに。
 心の中でそう返すだけで声にはならない。混乱する頭で何か言わなければならないのだろうと考えて考えて何とか出た言葉は一言だった。
「あなたは誰?」
 瑠璃は口を開いたのにほっとした様子のライオンに、ずいぶん人間らしい反応だ、とぐるぐるする思考の中でぼんやり思った。
「ライオンです」
 そして冒頭に戻る。
「はぁ……」
 間の抜けた返事をして、瑠璃はライオンを見た。
 どこからどうみても、ライオンである。着ぐるみではないだろう。しゃべるライオンなどいるのだろうか。いや、そんな自問するだけ無駄だと一蹴した。どんなに否定しても結局目の前にはそのしゃべるライオンがいるのである。
 ライオンは瑠璃を襲うことなく、じっと目の前にたたずんでいる。こうしてみると飼い猫のように思えてくるから不思議だと感じた。
「あなたのお名前は?」
 ライオンは小首をかしげてたずねてきた。動きが少し愛らしく感じて、瑠璃は警戒心を解いた。何より自分を助けたライオンなのだ。おびえる必要もないだろうと判断した。
「瑠璃です。藤宗瑠璃」
「瑠璃さんですね」
 ライオンが吟味するように瑠璃の名を呼んだ。ライオンは柔らかい気配を身につけたまま、口を開いた。
「瑠璃さん、ここはあなたのいた世界ではありません」
 瑠璃は一瞬ぽかんとした後、「はぁ……」と再び生返事を返した。ライオンはそれを心配したのか少し顔を近づけてきた。
「瑠璃さん、状況は分って頂けていますか」
「はぁ、残念なことにまったくもってこれっぽっちも」
 正直に告げると、ライオンはため息を吐いた。ライオンにあきれられる女って私ぐらいなんじゃないだろうか。貴重な体験だ、と思ってしまうあたり自分は図太い、と瑠璃は思った。
「ここはあなたがいた世界とは違います。ここはあなたのいた場所と違い、魔法や魔獣や魔族や剣で戦などがある世界です。まあ、最近は戦争もなく平和ですが」
 魔法ねえ、剣ねえ、かっこいいねえ、とつぶやけるほど瑠璃はお調子ものではなかった。
「何、それ、どういうこと?」
「何度もいうように、あなたはあなたの世界からこちらに召喚されたのです。ある魔女の手によって」
 いや、召喚されたとは一度も言われてないけど。今は突っ込んでいいときではないと思い、瑠璃はそこは流してやることにした。
「えーと、信じがたいことばかりで信じられないんだけど、とりあえず、その魔女って誰?」
「この地でもっとも古い魔女です。彼女はふらりとあらわれてはふらりと去っていく。だから誰も彼女の住居は知りません。しかし、腕は確かですよ。異世界の人間を呼び出すなんて、普通はできないので」
 どうも自由奔放な魔女らしい。ふーん、と話を聞いていた瑠璃だったが、ひとつ疑問が浮かんできた。
「魔女が呼んだなら、何で魔女の住居とかに現れなかったの私」
 用があるなら直接自分の所に招くほうが早いだろう。あえてこの森の中に転送させる必要性があったのだろうか。おかげでこちらは死に掛けた。瑠璃がクマに襲われたことを思い出し、不機嫌になると、ライオンは少し困ったように言葉をつむいだ。
「間違えたそうです」
 何を。
 ライオンの一言で嫌な予感がして、瑠璃は顔をしかめた。
「本当は自分の家に呼ぶ予定だったんですが、眠気に負けて気を抜いたらこの森に送ってしまったそうです。人がこんな野生の森で無事でいられるのは難しいので、近くに住んでいる私があなたの保護に借り出されたわけです」
 つまり瑠璃は魔女のうっかりミスで死に掛けたわけである。勝手に呼んでおいてそれはないだろうと思うと同時に、近くに住んでいるというだけで借り出されたライオンに同情もした。もしかして、彼は魔女のパシリなのだろうか。 
「苦労、してるんだね」
「え、ええ、まあそれなりに苦労はしていますが……なぜ私は今哀れみの目で見られているのでしょうか」
 同情の眼差しで見つめる瑠璃に、ライオンは少し怖気づいた。瑠璃の脳内ではすっかり目の前のライオン=魔女のパシリとなっている。
「とりあえず、ここから離れましょうか。今日は近くの宿に泊まるのがいいでしょう。あ、お金はあるので大丈夫ですよ」
 宿についてからこれからについて話しましょうね、と言うライオンに、それもそうだ、瑠璃は立ち上がった。何より、さっきのクマのような獣がまた出てきたらたまらない。
「でも、ライオン連れて町に入れるの? それに私変な格好だけど」
 変な格好、と言っても瑠璃にしてみたら変な格好ではない。 普通にジーンズとTシャツと言ったラフな私服である。しかし、ここは魔法と剣の世界。瑠璃の頭の中には小学校のころ見ていたアニメのキャラクターが頭に浮かんだ。みな、ローブを着たり、甲冑を着たりしている。たぶん、きっと、この姿は場違いだろう。
 自分の格好を見て悩んでいる瑠璃に、ライオンは大丈夫ですよ、と言った。
「ここから町まで行ったら店が開いている時間になっているでしょうから、すぐに服を買いましょう。それまでの辛抱ですよ。それに、この国で私のような獣は珍しくないんです。だから、私をつれて町に入っても問題ないですよ」
 そうなんだ、とほっと息をついた。
「あれ、でもライオンさん、この近くに住んでるんじゃなかったっけ? そこじゃだめなの?」
 ライオンは少し考えるように押し黙る。
「だめじゃないんですが……」
 すっと目線を森の奥に向けた。
「この先に行くのは嫌でしょう?」
 私の家、森の一番奥にあるんです。
 視線の先は真っ暗な森。明かりなどひとかけらも見えない。
 瑠璃は、すっと前を見据えた。
「町に行きましょう」
 懸命な判断だった。



ライオンさんと青き魔女





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この記事へのコメント
え゛っ……

これ続かない……?





ぷりいいいいいいず、ぎぶみいいいいいいい、
ねぇえええええええええくすとぅっっっっ!!!
Posted by 江 汀 at 2010.05.27 21:39 | 編集
江 汀さんへ

あなたの熱い思いに応えてみました。
しかし、書いた内容は熱くない。
続きは……プロットのボイコットにより未定で。
鳥頭が直れば何とかなる気もする。
Posted by 沢野いずみ at 2010.06.03 00:59 | 編集
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